皆さん、日本解体新書へようこそ!
今回は「日本半導体製造装置協会 会員企業」の紹介シリーズです!
※日本半導体製造装置協会とは、半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)、太陽光発電(PV)製造装置関連企業が主な会員の全国団体です。
今回は、半導体製造などで使用される温度制御装置(ペルチェ素子)の世界トップメーカー「株式会社KELK(ケルク)」を紹介します。
KELK は半導体製造などにかかせない「温度制御に使われるペルチェ素子」の開発・生産を行っています。
ペルチェ素子とは、パソコンのCPUの冷却や小型冷蔵庫、半導体レーザーの温度制御などに用いられる電子部品です。
特性は、電気を消費して熱を移動させること。
方面が吸熱、もう片面が発熱になることから冷却装置に使われます。
この記事では、KELK がどのようなメーカーで、どのような製品を取り扱っているか。
歴史や業績を交えて徹底解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むとわかること!
- KELK の企業情報
- KELK の歴史、業績
- KELK の働き方
- KELK の強み
Contents
KELK の特徴とは?事業内容や歴史について解説
KELKとは?
KELK は0.01℃単位の超精密な温度調節を実現する温調機器の世界トップ企業です。
社名 | 株式会社KELK(親会社:小松製作所 6301) |
設立時期 | 1966年11月 |
代表取締役 | 大内 力 |
事業内容 | ・熱電素子 ・各種温調機器の開発・製造・販売 |
資本金 | 3億9,000万円 |
本社所在地は神奈川県平塚市です。
設立は1966年、2016年には創業50周年を迎えました。
また、非上場ですが親会社である小松製作所は上場企業です。
KELK の基本情報
KELK の基本情報は以下の通り。
売上高~セグメント別売上高は「公式HP」、平均年収~初任給は「マイナビ2025」 を参照しています。
売上高 | 288億円 |
純利益 | 40.3億円 |
平均年収 | 非公開 |
従業員数(単独) | 346人 |
平均年齢 | 非公開 |
勤続年数 | 非公開 |
残業時間 | 20.4時間 |
本社 | 神奈川県平塚市 |
勤務地 | 【本社・工場】 神奈川県平塚市 【営業所】 関西営業所 京都府向日市 九州営業所 熊本県菊池郡大津町 |
初任給(学部卒/修士卒) | 大学院卒:245,000円
学部卒:235,000円 |
KELK の歴史
KELK の歴史は創業前から始まります。
1957年に(株)小松製作所において熱電半導体(ペルチェ素子)の開発が始まりました。
開発から2年後には、天体望遠鏡の光電子増倍管冷却装置を販売を開始。
1966年に分離独立して日本ソリデート(株)という社名で設立されました。
その後は、電子恒温槽、ケミカル・サーキュレータ、循環冷却加熱装置などペルチェ素子の特性を生かした温度調節機能を有した製品を次々を発売。
現在では、0.01℃単位の精密な温度調整を可能にし、半導体製造装置の温度制御装置や光通信に使われる半導体レーザーの温度調節装置として組み込まれています。
温度制御装置の世界トップ・KELK の主な製品ジャンル
KELK の事業内容は、「サーモ・モジュール」と「温度調節機器」の製造販売です。
ここでは、上2つの製品について解説していきます。
サーモ・モジュール
KELK の主力技術である熱電半導体(ペルチェ素子)の製造販売を担っているのがサーモ・モジュールです。
光通信用レーザダイオード向けを中心とした「微小モジュール」、
赤外線センサやレーザ、理化学機器などの大型・大吸熱量の「汎用モジュール」、
CCDカメラや光センサなどの氷点下温度での制御を行う「多段モジュール」などがあります。
長年の技術を蓄積した結果のモジュールであるため、コストパフォーマンスや信頼性が高く選ばれ続けています。
温度調整機器
KELK では温度調整を行う機械も製造しています。
超純水加熱装置(25℃〜85℃):水・不活性液の温度調整、シリコンウエハやガラス基板の洗浄で活用
ケミカルサーキュレータ(15℃〜50℃):金属イオンの溶出汚染がない冷却加熱を行う温度調整機器
電子除湿器:環境汚染ガス分析装置のサンプルガス採取部の機器
温度制御装置の世界トップの企業として多くの製品を供給しています。
KELK の強み
KELK の強みは「参入障壁の高い製品」と「温度制御装置の世界トップメーカー」です。
ここでは、その2つの強みについて解説していきます。
KELK の強み①:参入障壁の高い製品
KELK の扱うペルチェ素子は、接合した2種の異なる金属を用いて作られます。
ペルチェ素子のメリットは多くあります。
- フロン(温室効果ガス)などのガス(冷媒)が要らない
- 電流を流すだけであり、騒音や振動がない
- 小さく、部品も少ない
ペルチェ素子の研究を70年近く続けている KELK は競合他社には参入できない高い技術力で、半導体製造の制御などを0.01℃の単位で調節しています。
これからも伸びる半導体市場の温度調整を支えるメーカーとして地位を築いている点は KELK の強みといえるでしょう。
KELK の強み②:世界トップメーカー
KELK は素材からモジュール、熱交換器、応用機器までを開発・製造・販売を一つのメーカーで行っています。
KELKのモジュールの世界トップの由縁は、その高性能さです。
世界最高クラスの変換効率を持ち、冷却機能にとどまらず、温度差を利用した発電なども期待されています。
工場の排熱やエンジンからの排出ガスから発電することも期待されています。
世界最大手として、温調機器の技術のトップを走る KELK はこれからの産業に欠かせない存在といえるでしょう。
KELK の企業研究まとめ
KELK の2023年度は少し伸び悩みました。
これは半導体業界が低調だったため、半導体製造の受注が減り、その結果売り上げが落ちたようです。
ただ、半導体をはじめとする高度な産業が続く限り、温調機器は不滅でしょう。
就活をする上では、KELK は「温度制御装置の世界トップ」であることをお忘れなく。