皆さん、日本解体新書へようこそ!
今回は「日本半導体製造装置協会 会員企業」の紹介シリーズです!
日本半導体製造装置協会とは、半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)、太陽光発電(PV)製造装置関連企業が主な会員の全国団体です。
今回は、半導体製造の検査装置の世界トップシェア「アドバンテスト」について紹介です。
実は平均年収が高いことでも有名な会社なんですよ。
この記事ではアドバンテストがどのようなメーカーで、どのような製品を取り扱っているか。
歴史や業績、年収を交えて徹底解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むとわかること!
- アドバンテストの企業情報
- アドバンテストの歴史、業績
- アドバンテストの働き方
- アドバンテストの強み・弱み
Contents
アドバンテストの特徴とは?事業内容や歴史について解説
ここでは会社の特徴や事業内容と歴史を解説します!
アドバンテストとは?
株式会社アドバンテスト(Advantest Corporation)は、半導体デバイスの測定器等を主に取り扱う半導体製造装置メーカーです。
社名 | 株式会社アドバンテスト(証券コード:6857) |
設立時期 | 1954年12月 |
CEO | ダグラス ラフィーバ |
主要事業 | ・半導体テストシステム事業 ・メカトロニクス関連事業 |
資本金 | 323億6,300万円 |
本社所在地は、東京駅の目の前、東京都千代田区丸の内です。
歴史も長く、設立は1954年、2024年に設立から70周年となります。
東証に上場しており、東証プライム市場(証券コード:6857)。
ちなみにアドバンテストの名前は、もともと旧社名である「タケダ理研工業株式会社」で発売していた半導体検査装置のブランド名です。
由来は、造語で「Advanced Test Technology」からつくられました。
アドバンテストの基本情報
アドバンテストの基本情報は以下の通り。
売上高~セグメント別売上高は「2023年度決算短信」、平均年収~初任給は「リクナビ2025」 を参照しています。
売上高 | 4,865億円 (前年比:-13.2%) |
営業利益 | 816億円 (前年比:-51.3%) |
営業利益率 | 16.8% |
セグメント別 :半導体・部品テストシステム |
3,315億円 |
セグメント別 :メカトロニクス関連 |
527億円 |
セグメント別 :サービス他 |
1,022億円 |
平均年収 | 1,005万円 |
従業員数(単独) | 2,011人 |
従業員数(連結) | 6,766人 |
平均年齢 | 46.1歳 |
勤続年数 | 20.9年 |
残業時間 | 22時間 |
本社 | 東京丸の内 |
勤務地 | 【本社】 東京丸の内 【R&Dセンタ】 群馬県明和町 埼玉県加須市 【研究所】 宮城県仙台 【工場】 群馬県邑楽町 |
初任給(学部卒/修士卒) | 大学 月給:245,000円
大学院 月給:269,000円 |
アドバンテストの歴史
アドバンテストは、1954年に武田郁夫氏が東京都板橋区熊野町に「タケダ理研工業株式会社」を源流に持ちます。
最初の自社製品は電圧電流計、周波数カウンタといった電子計測を販売してました。
1957年には計測結果をデジタル表示するユニバーサル・カウンタ「TR-124B」が大ヒット。
15年後の1972年には国産初の半導体試験装置、LSIテスト・システム「T-320/20」、メモリ・テスト・システム「T320/30」を発売。
13年後の1985年には社名を「タケダ理研工業株式会社」から現在の「株式会社アドバンテスト」に変更しています。
そして同年に半導体テスト市場のシェア1位になりました。
近年は安定した経営基盤の確立を目指し、海外企業のM&Aを行っています。
- 欧州 Credence Systems社を買収
- 半導体試験装置大手Verigy社を買収
- 米国W2BI.COM社を買収
- 米国 Essai社を買収
- イタリア CREA社を買収
- 台湾 Shin Puu社を買収
2024年に創立 70 周年。
AIや5Gなどの普及がデータ量が膨大になり、半導体市場はより大きくなっていきます。
半導体は、高機能化・複雑化・大容量化していき、これまで以上に高い信頼性を高めるためにも、検査装置の必要性は高まります。
半導体テスタ大手・アドバンテストの主な製品ジャンル
アドバンテストは3つの事業に分かれています。
その中でも売上高の多くを占めているのが「半導体・部品テストシステム事業」です。
他にはテストシステムの周辺機器に関する「メカトロニクス関連事業」、顧客サポートなどの「サービス他」もあります。
ここでは、「半導体・部品テストシステム」・「メカトロニクス関連」について簡単に解説します。
半導体・部品テストシステム
半導体・部品テストシステムのうち、次の2点について解説します。
- SoC半導体用のテストシステム
- V93000:SoCテスタ
- T2000:SoCテスタ
- T6391:ディスプレイ・ドライバIC向け
SoC 半導体用試験装置は、ロジック半導体やアナログ半導体を網羅的にテストすることが可能です。
自動車や産業機器関連、スマートフォンやサーバーなどの多くの産業を支えています。
- メモリ半導体用のテストシステム
- T5833:DRAM・NAND向け
- T5503HS2:高速DRAMパッケージテスト向け
メモリ半導体は、少品種・大量生産が一般的なの量産工程に最適化されています。
多数個の半導体を同時にテストを実施しています。
メカトロニクス
メカトロニクス関連の事業では、テストシステムの周辺機器である「デバイス・インタフェース」、「テスト・ハンドラ」の製造・販売を行っています。
テスト・ハンドラは、半導体製造の後工程を自動化する装置です。
- 半導体をテストシステムに搬送
- テストの際に温度を上昇
- テストに基づき半導体を仕分ける
のすべてを一台で対応できます。
デバイス・インターフェイスは、テストする半導体と、テスト・運送の際に半導体と電気的・機械的に接続するユニットです。
半導体の品種ごとに異なるユニットが用いられるため、設計・開発・発注・生産・サポートまでアドバンテストが請け負っています。
アドバンテストの強み
製品の品質の高さ・開発力の高さを備えていることはもちろんですが、アドバンテストの強みは多くあります。
安定した経営基盤を支える「パートナーシップ」や「グローバルサポート能力」、半導体市場自体のとどまることのない成長、高い利益率が挙げられます。
また、世界各地に拠点を設けていることにより、グローバルに半導体サプライチェーンへのサポートが可能となっています。
アドバンテストのサポートは海外でも高く評価されており、「顧客満足度がとても高いサプライヤー」と認識されているメーカーでもあります。
アドバンテストの強み①:安定した経営基盤
アドバンテストは、歴史の部分でも触れましたが2010年代前半から積極的なM&Aを行い、安定した経営を作り上げました。
この積極的な M&A は半導体市場の拡大、半導体に携わる企業のグローバル化が背景にあります。
アドバンテストは M&A により、 テスト効率化とコストダウンの実現、グローバルな対応力を身に着けてました。
これらの結果、世界シェア1位の半導体テスタメーカーとして現在君臨しています。
シェアは近年も高まっており、2022年にはトータルシェアは57%。
SoCテスタ、メモリテスタ両方において世界トップです。
アドバンテストの強み②:成長が期待できる市場
アドバンテストが君臨する半導体テスター市場は今後も成長が期待できる分野です。
将来的にも半導体はより多くのデータを持つために複雑化していきます。
作られた半導体の信頼性を確認することを生業にしているアドバンテストは、そのニーズの増加により今後も成長が期待されます。
アドバンテストの強み③:利益率が高い
利益率は株などで注目されがちですが、就職の際にもぜひ確認したいポイントです。
利益率が高いということは、それだけ付加価値がある製品を作っていることに他なりません。
アドバンテストの場合は2023年度の営業利益率は 16.7% 。
これでも 2023年は半導体不況の年でしたが、製造業の平均が約4%ですのでその高さがわかります。
利益率が高いと、その分、新しい製品・技術を作るための「研究開発費」や昇給・ボーナスなどで還元される「社員の給料」が増加していきます。
アドバンテストの企業研究まとめ
アドバンテストは2023年度も好調でした。
半導体市場の長期成長を見込み、DXや設備、人材への投資を続けること、パワー半導体などの新たな市場の需要の取り込むことを掲げています。
就活をする上では、世界トップシェアの半導体テスターメーカーであることをお忘れなく。
そして、高いシェアに支えられた、高い利益率、高い年収は優秀な人材をあつめ、グローバルに事業を展開させています。